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Amazon Web Servicesでは、こことか、ここにあるように、ロードバランサを使った構成を勧めています。
ロードバランサを使った場合、国内外のクラウドサービスのどこが本当に安いのか比較してみました。2017年5月での比較です。
各サービスにおいて、メモリが2MBあるインスタンスを借りることを考えます。WordPressを使うことを想定してロードバランサ1個とWebサーバーのインスタンス2個とデータベースのインスタンスを借りることを考えます。
比較したのは、Amazon Web ServicesとGoogle Cloud Platform、Microsoft Azure、さくらのクラウド、IDCF クラウド、クラウド・エヌです。
データベースのサーバーは、リレーショナルデータベースのサービスが提供されていればそれを使い、無ければインスタンスをデータベース用に借ります。
海外のクラウドサービスでは、ネットワークが従量制なので、1MBのページが月に100万ページビュー/月、ということで転送量が1000GB/月として検討してみます。ここが一番不明確なところです。
それぞれのサービスで料金のシミュレーターがあるので、それを使って調べました。
厳密な意味ではスペックを同じにできませんでしたので、はじめにお断りしておきます。
では、Amazonから。
Amazon Web Services
Amazon Web Services(AWS)は、いろいろなサービスが提供されています。そのなかで、Amazon EC2がWebサーバーに、Amazon EBSがストレージに、Amazon RDSがデータベースとして使えます。
12か月の無料期間があるのですが、今回はそれを無視して調べました。
メモリ2MBにするために、t2.smallを2台選びました。
料金シミュレーターはこちらです。
Amazon EC2
タイプ: | Linux,t2.small |
台数: | 2 |
月額: | $46.86 |
Amazon EBS
ボリュームタイプ: | General Purpose SSD(gp2) |
ストレージ: | 30GB |
月額: | $3.60 |
Elastic Load Balancing
Elastic LBの数: | 1 |
全ELBによって処理されたデータ転送: | 1000GB/月 |
月額: | $27.77 |
データ転送送信
アジアパシフィック(日本)リージョン | $139.86 |
Amazon RDS
クラス: | db.t2.small |
ストレージ: | 汎用(SSD) 5GB |
リージョン内データ転送: | 1000GB/月 |
月額: | $48.76 |
合計: | $266.85 |
月額料金は1ドル110円として消費税も入れると、31702円です。データ転送量に応じて金額は変化します。
また、実際に運用していくにはデータベースのバックアップなども必要になり、その分のお金がかかります。
Google Cloud Platform
Google Cloud Platform(GCP)も、いろいろなサービスが提供されています。そのなかで、Google Compute EngineがWebサーバーに、Google Cloud SQLがデータベースとして使えます。Compute Engineのところにストレージもあります。
シミュレーターを使ってみると次のようになりました。
Compute Engine
1460 total hours per month | |
VM class: | regular |
Instance type: | g1-small |
Region: | Asia (Japan) |
料金: | $32.91 |
Persistent Disk
Asia (Japan) | |
Storage: | 30 GB |
料金: | $1.56 |
Load Balancing(global)
Asia(Japan) | |
Forwading riles: | 1 |
Netword ingress: | 1000GB |
料金: | $39.74 |
Network Bandwidth
Egress - Asia/Pacific | 1000GB |
料金: | $120.00GB |
Cloud SQL Second Generation
db-g1-small | |
# of instances: | 1 |
730.0 total hours per month | |
Storage: | 10 GB |
Backup: | 0.0 GB |
料金: | $27.25 |
合計: | $221.46 |
月額料金は、消費税を考慮すると26310円です。
Cloud SQLの安さが光ります。こちらも、アクセス数が増えれば費用がかかります。
ネットワークの転送料の割合が大きいです。
Microsoft Azure
Microsoft Azureは、WindowsとMicrosoft SQL Serverを使うことを想定しています。SQL DatabaseはWebアプリケーション用ということで、Standardというパフォーマンスレベルから最低なものを選びました。
SQL Database
リージョン: | 西日本 |
タイプ: | Single Database |
価格レベル: | Basic |
パフォーマンスレベル: | B: 5BTU, DBあたり2GBストレージ |
料金: | 1730.25円 |
Virtual Machines
リージョン: | 西日本 |
種類: | Linux |
価格レベル: | Basicx |
インスタンスのサイズ: | A1:1コア,1.75GB RAM, 40GB |
インスタンス | 2個 x 744時間 |
料金: | 4856.83円 |
Load Balancer
料金: | 無料 |
帯域幅
リージョン | |
ゾーン2:アジア太平洋、日本、オーストラリア | |
1000GB | |
料金: | 14005.62円 |
合計: | 20592.70円(消費税不明) |
他のクラウドサービスでSQL Serverを動かそうとすると、Windows ServerとSQL Serverのライセンス料がかかります。そのことを考えたら、データベースのレンタル料がすごく安いです。
ロードバランサが無料なんですね。こちらも、アクセス数の費用に占める割合が大きいです。
さくらのクラウド
サーバー・ディスク
リージョン: | 石狩 |
サーバープラン: | 仮想1コア、2GBメモリ |
ディスク1: | SSDプラン:20GB |
契約数: | 2 |
料金: | 5142円 |
ルータ・スイッチ
回線帯域: | 100Mbps:月間3.2TB(平均10Mbps)月額4320円 |
グローバルIPアドレス: | 16個:月額3456円 |
料金: | 7776円 |
ロードバランサ
プラン: | 標準プラン |
料金: | 2571円 |
データベース
プラン: | 10GBプラン:月額2700円 |
料金: | 2700円 |
合計: | 18189円(税別) |
前回見落としたのかもしれませんが、データベースのサービスがあるのですね。ルータ・スイッチが高いなと思ったのですが、ネットワークの転送量が増えても値段は上がりませんので、こんなものかもしれません。
IDCF クラウド
こちらは、データベースのサービスがありません。サーバーの構成例として、人気のLAMP構成ということで、Webサーバー2つ、DBサーバー2つの構成がありましたので、それを紹介します。
Webサーバー
仮想マシン: | Light-S2 CPU 1 Mem 2GB |
料金: | 1400円 |
ボリューム: | ルートディスク15GB |
料金: | 300円 |
利用台数: | 2台 |
DBサーバー
仮想マシン: | HighCPU-M4 CPU 2 Mem 4GB |
料金: | 9200円 |
ボリューム: | ルートディスク15GB |
料金: | 300円 |
利用台数: | 2台 |
ロードバランサ
料金 | 無料 |
合計: | 22400円(税別) |
DBサーバーに結構よい性能のサーバーを割り当てています。性能を抑えることで安くできると思います。
性能の良い有償のロードバランサもあります。また、初期設定のスクリプトがあるそうです。
クラウド・エヌ
Cloudn(クラウド・エヌ)は、NTTコミュニケーションズが提供しているクラウドサービスです。
料金シミュレーターはこちらです。
東日本リージョン
FLATタイプ
Compute
仮想サーバープラン(vCPU): | プランv1(1 vCPU, 2GB) |
オフィシャルテンプレート: | CentOS(ルートディスク15GB) |
1か月の利用時間: | 起動720時間 |
台数: | 2台 |
料金: | 6800円 |
データディスク: | 40GB 利用720時間 |
台数: | 2個 |
料金: | 800円 |
Load Balancing Advanced(LBA)
LBA: | 振り分け先の仮想サーバー数 2台/月 |
料金: | 1500円 |
Relational Database(RDS)
DBサーバープラン: | vDB1(1vCPU,2GB) 720時間 |
DBディスク: | 30GB利用 720時間 |
料金: | 5600円 |
合計: | 14700円(税別) |
なんか安くまとまりました。
RDSをマルチゾーンに配置して、LBAでSSL証明書を扱って、DNSのサービスを使っても、税込みで23328円でした。
とてもお得です。
まとめ
国内外のクラウドサービスについて、料金を比較してみました。
AWSは、ロードバランサも含めて組むとそれなりに料金がかかります。オンプレミスでロードバランサを購入したことと比べれば安いのでしょうけれど。将来的に成長が見込めるサイトは、ロードバランサを組んでしまった方が、後の手間がかからないと思います。
GCPは、このページで、他のクラウドと比べてコストが60%とうたっています。他のクラウドとはAWSのことでしょう。Azureもそれくらいのところを狙っているようです。
Azureも含めて、海外のクラウドサービスは、ネットワークの転送料が従量制です。そのため、転送量が増えると料金が上がることが大きくきいてきます。画像の多いサイトは要注意です。
国内勢も頑張っています。
さくらのクラウドは、比較ではAWSより安く、ネットワークの転送量が増えるともっと違いが出てきます。
IDCFクラウドは、データベースのサービスがないので自分で設定する必要がありますが、それができればネットワークの転送料もかかりませんし、料金は明瞭です。データベースのサービスは、2017年中に提供予定のようです。
クラウド・エヌがずいぶん頑張っているように見えます。データベースのサービスもありますし、サイトを運営するのに必要なサービスはそろっていると思います。
いずれにしろクラウドサービスは、少しお金をかけてでも手間と時間を節約して自分の仕事を楽にするものだと思っています。
自分に合った良いサービスが見つかるといいなと思います。